気候変動に対する考え方・方針

当社は経営理念「JINUSHIビジネスを通じて安全な不動産金融商品を創り出し、世界の人々の資産を守る一翼を担う。」を掲げるとともに、JINUSHIビジネスを通じて、持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。
当社は、気候変動は当社事業に大きな影響を及ぼす重要な経営課題として認識するとともに、環境・社会課題の解決に向けて積極的に取り組み、リスク・機会に関する開示の充実にも努める方針です。

サステナビリティガバナンス体制

当社は、ESG推進委員会を設置の上、ESGの取り組みを推進しています。

ESG推進体制/役割

取締役会

ESG推進に関する各種ポリシーや目標、重要な各種施策に関する事項を決議

ESG推進責任者

代表取締役社長が担うとともに、ESG推進に係る体制を整備し、各種ポリシーや目標、各種施策の立案と実行を統括

ESG推進委員会

ESG推進に関する各種ポリシーや目標、重要な各種施策に関する事項を検討・立案

開催頻度:6カ月に1回以上
委員長:代表取締役社長
構成委員:ESG推進責任者が指名した者
事務局:財務本部

リスク管理体制

  • ESGに関するリスク管理体制については、ESG推進委員会にてモニタリング及び対応策等を検討するとともに、代表取締役社長を委員長とし、取締役や各本部長等で構成される「コンプライアンス・リスク管理委員会」と連携の上、必要な対応策を策定・実施することとしています。
  • 両委員会での審議内容等は取締役会に6カ月に1回以上、報告されています。

戦略

シナリオ分析

  • 気候変動が当社の事業にもたらす影響について、TCFDが提言する枠組みに基づき、シナリオ分析を行いました。
  • 当社の事業は、建物を持たずに、土地のみに投資を行う当社独自の不動産投資手法「JINUSHIビジネス」により構成されており、本ビジネスを分析対象とし、2030年及び2050年時点での移行リスクと物理リスク・機会等を検討いたしました。
  • シナリオ分析では、パリ協定の達成及び脱炭素の実現を念頭に置いた「1.5℃シナリオ」、また気候変動対策が十分に進展せず自然災害が激甚化するケースである「4℃シナリオ」の双方を採用して、分析しています。

当社事業の構成

シナリオ分析

シナリオ

シナリオの概要

主な参照シナリオ

移行リスク

物理リスク

1.5℃シナリオ

脱炭素の実現に向けた規制・政策が強化され、気候変動への対策が進捗し、産業革命前の水準からの気温上昇が1.5℃程度となるシナリオ。企業の気候変動対応が強く求められ、未対応の場合は、企業価値や信頼の低下による顧客流出等、移行リスクが上昇。一方で、物理リスクは相対的に抑制。

IEA NZE2050

IPCC RCP2.6

4℃シナリオ

気候変動対策が十分になされず、産業革命前の水準からの気温上昇が大よそ4℃となるシナリオ。自然災害の激甚化、海面上昇や異常気象の増加が想定されるなど、物理的リスクが上昇。一方で、各種規制強化がなされないなど、移行リスクは相対的に低い。

IEA STEPS

IPCC RCP8.5

リスクと機会

  • 脱炭素社会への移行および気候変動により、JINUSHIビジネスにもたらされる移行リスク、物理リスクならびに機会について 、発生可能性と財務影響の観点から検討し、2030年及び2050年時点における各影響を下表のとおり特定、財務影響の定性分析を行いました。定量的な財務影響の試算は、今後検討していきます。
  • 土地のみに投資するJINUSHIビジネスは、気候変動や自然災害に強く、1.5℃シナリオ、4℃シナリオいずれにおいても、一定の対応力を有していることが確認できました。

区分

タイプ

内容

財務影響度

財務影響

4℃

1.5℃

2030年

2050年

2030年

2050年

移行リスク

政策・法規制

•炭素税の導入、省エネ基準の強化等、GHG(温室効果ガス:Green House Gasの略)排出規制の強化

•規制への対応コストの増加
•規制対応による、テナントの地代負担力の低下

テクノロジー・
市場

•テクノロジーの進化や、気候変動によるテナントの需要、市場及び出店戦略の変化
•気候災害を受けにくいエリア・土地の希少化、土地価格への反映

•既存テナントの地代負担力の低下やテナント需要の減少
•土地仕入コスト(土地価格、調査費用、環境対応費用等)の上昇

物理リスク

急性

•台風や集中豪雨などによる浸水等の浸水被害
•異常気象によるテナントの工事期間の長期化や、テナントの管理費・人件費の増加

•浸水等の被害の頻発に伴う、テナントの対応負担増加、及び退店頻度の上昇
•工期長期化による地代発生時期の遅延

慢性

•海面上昇による浸水リスクの上昇、災害激甚化リスクを抱えるエリアの拡大
•気候変動による人口動態の変化

•保有土地の資産価値の低下
•改修費用(嵩上げ等)の発生
•事業エリアの縮小

機会

資源効率

•テナントとの長期契約の推進による建設プロセスの減少

•長期契約を好むJINUSHIビジネスとの親和性の向上、コスト効率を考慮するテナントの出店ニーズの増加
•建築コスト抑制を企図した定期借地期間満了後の再契約ニーズの上昇

市場

•新たなビジネスを行うテナントの発生
•気候変動を受けにくい代替エリア・土地の価値向上
•気候変動や自然災害に強く、GHGをほぼ出さないJINUSHIビジネス並びに地主リートの評価向上
•気候変動対策を重視する投資家の増加

•新たなテナント業種の獲得
•代替エリアでの事業機会獲得
•JINUSHIビジネスの評価向上によるテナント拡大や資金調達条件の良化、手段の多様化
•地主リートの資金調達量の増加、投資家層の拡大

シナリオ分析を踏まえた対応策

  • 自社排出分のカーボンニュートラル化や、テナントへの環境配慮型設備導入等の働きかけにより、2050年カーボンニュートラル社会実現への貢献を目指します。

JINUSHIビジネスの拡大

  • 土砂災害、浸水等の自然災害リスクの低い土地の仕入
  • 長期契約の締結による、テナントの建築・解体に伴うGHG排出の低減
  • テナント業種の多様化、事業エリアの拡大による環境変化への対応力の強化
  • 既存の土地・建物案件における土地のオフバランスの促進(テナントにおける建物長期利用の促進)

GHG排出量低減に向けた取り組み

  • 自社拠点における再生可能エネルギーの活用、排出権購入等による自社排出分のカーボンニュートラルの継続
  • テナントとの定期借地契約へのESG条項の追加による、環境負荷軽減に寄与する活動の継続

目標と指標

<目標>

  • カーボンニュートラル(自社排出分:Scope1,2※1)の継続
  • テナントとの定期借地契約のESG条項組入率※2100%

<指標>

GHG排出量

分類

2022年12月期実績

2021年12月期実績

2030年目標

2050年目標

Scope1※1

(+)

26

32

カーボンニュートラル

カーボンニュートラル

Scope2※1

(+)

14

20

排出権購入

(-)

▲40

▲52

Scope1,2※1

0(カーボンニュートラル)

0(カーボンニュートラル)

Scope3※1

(+)

4,619

3,434

その他の指標

分類

2023年12月期実績

2022年12月期実績

2030年目標

2050年目標

テナントとの定期借地契約のESG条項組入率※2

100%

100%

100%

100%

※1.Scope1:自社使用によるGHGの直接排出(社用車でのガソリン使用等)
 Scope2:自社使用の電気や熱等の使用に伴う間接排出(本支店の電力消費等)
 Scope3:事業者の活動に関連する他社の排出(取引先の土壌改良工事、解体工事等)

※2.定期借地権設定契約の雛形にESG条項を組み入れた2022年6月9日以降の契約を対象(当社の新規開発案件かつ国内契約のみ対象)

グループ会社